大学入学共通試験(通称:新センター試験)においては、どういった能力が求められるでしょうか。
それを知るために、まずは出題の意図を知ることから始めましょう。
新センター試験の作問イメージを見てみると、下記のように記載されています。
作問のねらい
(1)地理に関わる諸事情の意味や意義、特色や相互の関連を多面的・多角的に考察することが出来る。
(2)事象について位置や分布などからとらえ考察することが出来る。
(3)事象が生起している場所の特徴をとらえ考察することが出来る。
(4)地理的事象について人間や社会との自然環境との相互依存関係などの関わりをとらえ考察することが出来る。
(5)地域的特色について多面的・多角的に考察することが出来る。
※大学入試センター公式HPより一部抜粋
上記を分析してみると、地理的事象を様々な角度から読み取ることが出来るかどうかということが、大きなポイントであることが分かります。
「相互」や「関連」、「多面的・多角的」という言葉が頻出ですから、様々なジャンルの問題が混合して出題される可能性が高いようです。
つまり単語をただ暗記している学習法では十分な対策とは言えませんし、特定のジャンルに知識が偏っているだけでも問題を完璧に解く事は出来ません。
新センター試験においては、ほぼすべてが統計データや資料、図表の読み取りで問題が構成されているので、「統計データから何が読み取れるのか」ということを日常学習から意識していく必要があるでしょう。
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大学入学共通テストの地理の傾向
基本的には、世界の地形や気候(雨温図の読み取り)から始まり、農業や工業、世界各地の生活文化や地誌(ヨーロッパやアジア等、各地域に焦点を当てた大問)、最後に日本国内の特定地域を取り上げた問題(地形図の読み取りは高確率で出題されるでしょう)で構成されています。
非常に幅広い分野から出題されますが、難易度の高い問題というのはほとんど出題されません。
教科書や資料集を十分に理解し、旧センター試験の問題を演習することで高得点を狙うことも可能です。
しかし先述の通り、特定のジャンルだけではなく、各ジャンルの内容を満遍なく理解していなければ、様々なジャンルの複合問題が出題される地理の試験では得点が取れませんので、その点は留意しましょう。
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旧センター試験との違い
新センター試験とはいうものの、統計問題を読み取る問題が中心に出題される点に変わりはありませんが、一つ大きな違いとして挙げられるのは「自由記述」が出題される可能性があるということ。
この問題では、主題図などの資料を適切に作成出来るかであったり、地理的事象を多面的・多角的に考察し、論理的に説明出来るかであったり、現代社会の問題に対して、自らの解釈も加えた上で意見作成が出来るかが見られます。
一見、得点が難しいのではないかと思われるかもしれませんが、出題傾向や後述の勉強法を踏まえれば、十分に対策することが可能です。
大学入学共通テストの地理のレベル/難易度
国公立大学や難関私立大学の問題と比較すると、難易度は標準的。
とはいえ基本的には、単語を回答する問題は出題されず、統計データや資料の読み取りが中心になりますので、普段からその演習をこなしていなければ、少し難しく感じるかもしれません。
複雑な統計や初見の資料等が多く出題されますので、普段から資料の読み取りを演習を重ねていきましょう。
また自由記述問題が出題される可能性がありますので、統計データや現代社会が抱える課題等を自分なりに分析し、どういった課題があるのか、どうすれば解決できるのかなどを記述できるようにもしておきましょう。
大学入学共通テストの地理の対策&勉強法
必ず理解しておきたいこと
新センター試験では様々なジャンルの複合問題が多く出題されます。
だからこそ、一つのジャンルだけではなく、全てのジャンルを大まかでも良いので、最低限理解しておかなければいけません。
また自由記述問題が出題される可能性がありますので、様々なジャンルで取り上げられている課題等には必ず目を通し、それに対してどのような背景があるのか、どのような解決策が考えられるか等を自分なりに説明出来るように、頭の中で整理しておきましょう。
複合問題とは?
複合問題という言葉を多く使用していますが、それでは具体的にどういった問題でしょうか。
下記は平成30年度試行調査「地理」で出題された一例です。
図1 平成30年度試行調査で出題された問題
上記問題は生活文化と雨温図が一緒に掲載されており、それぞれの地域の伝統的特色と気候を選択するものです。
つまり自然地理分野と人文地理分野が一緒になった複合問題です。
表に掲載された地域の気候を知らなければ、該当の雨温図を選択することが出来ませんし、どうして伝統的な衣服や家屋がその地域に根付いているのかも理解出来ないでしょう。
新センター試験の「地理」では、複合問題を多く出題することによって、事象をただ暗記しているだけでは身につかない多角的な視点から考察出来るかどうかという能力を見ているのです。
このような問題を解くうえでは、必ず「統計データがなぜこのようになっているのか」ということを日ごろから考える癖をつけましょう。
それでは、問題を解き方(思考法)を一つお伝えしたいと思います。
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統計データを読み解くための思考法
ここで一つ質問です。
統計データや資料を読み取る問題が多く出題されるのは何故でしょう。
それは、統計データや資料からどういったことが読み取れるのかを考える思考力を試したいからです。
様々なデータから規則性や背景を読み取る能力は、社会に出ても必要になるものです。
初見であろう問題から何を見つけ出せるかというのは、仕事をする上では、課題を解決する力につながります。
このように様々な情報を基に、分析や推測出来るかを新センター試験では試されますので、日常学習から統計を目にした時には「なぜこうなっているのか」を自分なりに説明できるように理解する必要があります。
それでは、具体的にどのように問題を解けばいいのか、その思考法についてお伝え致します。
下記をご覧下さい。
図2 平成30年度試行調査で出題された問題(2)
上記は先述の問題を一部抜粋したものになります。
このア~ウの地域においてそれぞれ異なった伝統的文化が根付いていますが、なぜこのような文化が生まれたのかを分析してみましょう。
先述では「思考法」という難しい言葉を用いていますが、やることは簡単です。
ア地域
・丈夫で加工しやすい毛織物を使った衣服
→毛織物ってどういった地域に多い?我々も普段からよく着てますね。
・石灰岩などの加工しやすい石を利用した石積みの家屋
→石灰岩の多く分布しているエリアは?
石灰岩は白い(ものが多い)けど白い壁の家はかなり特徴的です。
イ地域
・狩猟で得た獣皮を裁断・縫製した衣服
→普段から狩猟をしている=狩猟が盛んな地域ってどのようなイメージがある?
狩猟が盛んな地域はどのような地域が多いか?
→獣皮って防寒性はどうでしょう。優れている?優れていない?
・豊富にある木材を加工して組み立てられた木造家屋
→木材が多くある地域は当然降水量が多い。降水量がほとんどない砂漠に木材はあるか?
ウ地域
・放熱性に優れた麻や木綿を素材とする衣服
→「放熱性」という言葉が出てきたということは、この地域は暑い?木綿も通気性が良い。
・土を素材とした日干しれんが積みなどの家屋
→土を素材に家を作る地域はかなり限られています。「日干し」ということはかなり日光が厳しい環境?
いかがでしたか?
このように推測でも良いので、記載された文章からどのような背景が読み取れるのかを考えることが「地理」攻略への一歩です。
この背景を読み取る作業を繰り返すことで、冒頭にあった地理的思考力や他免停・多角的な観点が養われますし、自由記述対策にもなります。
ア地域
・丈夫で加工しやすい毛織物を使った衣服
→毛織物ってどういった地域に多い?我々も普段からよく着てますね。
→毛織物はヨーロッパを中心とした温帯エリアから普及していきました。
・石灰岩などの加工しやすい石を利用した石積みの家屋
→石灰岩の多く分布しているエリアは?
石灰岩は白い(ものが多い)けど白い壁の家はかなり特徴的です。
→白色というのは紫外線を跳ね返す特性を持っています。
夏に雨が少なく気温が高くなる地域で多く用いられます(例:地中海沿岸)。
ア地域はLです。
イ地域
・狩猟で得た獣皮を裁断・縫製した衣服
→普段から狩猟をしている=狩猟が盛んな地域ってどのようなイメージがある?
狩猟が盛んな地域はどのような地域が多いか?
→熱帯エリアや冷帯エリアで多く行われています。
→獣皮って防寒性はどうでしょう。優れている?優れていない?
→非常に優れています。つまり、寒冷な地域であることが分かります。
・豊富にある木材を加工して組み立てられた木造家屋
→木材が多くある地域は当然降水量が多い。降水量がほとんどない砂漠に木材はあるか?
→砂漠には木材はありません。木々が成長する条件には一定の降水量が必要です。
答えはMです。
ウ地域
・放熱性に優れた麻や木綿を素材とする衣服
→「放熱性」という言葉が出てきたということは、この地域は暑い?木綿も通気性が良い。
→非常に熱い地域です。上記の雨温図からも容易に絞ることが出来ます。
・土を素材とした日干しれんが積みなどの家屋
→土を素材に家を作る地域はかなり限られています。「日干し」ということはかなり日光が厳しい環境?
→土を利用した家屋は砂漠エリアに多いです。つまり、高温乾燥する地域的特色があります。
答えはKです。
このように様々な角度から事象を分析することで答えは簡単に導くことが出来ます。
しかし日常から統計データを分析する癖をつけておかなければ、得点出来る問題も得点出来ません。
日常から統計データの読み取りを意識することが、新センター試験「地理」において、一番の対策方法になります。
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(4)その他の問題の対策法
・必ず出題される問題を対策する
当たり前ですが、必ず出題されるジャンルの問題は得点源にしやすいです。
地理においては、地形の分布、雨温図と地形図の読み取りは必ず演習して得意分野にしていきましょう。
・地誌分野の問題について
地誌とは各地域を一つ取り上げて、その地域に関連する問題が出題される分野です。
例えば、ヨーロッパやアジア、アフリカ、南アメリカ等、それぞれの地形や気候、農業や工業、文化などが満遍なく出題される分野ですが、これは前年度の試験とは異なる地域が取り上げられやすいので、前年度の問題で扱われた地域がどこかを確認しておくと良いでしょう。
・普段から資料集や統計集に目を通しておく
資料集や統計集は地理学習において必須になります。
各ジャンルの概要が端的にまとめられているだけではなく、様々なデータや資料、図表が掲載されていますので、統計データの読み取りを実践出来ますし、様々なデータ等を見ることで、初出の統計問題にも対処が容易になります。
・旧センター試験の演習を重ねる
新センター試験とは言っても旧式と内容はあまり変わりません。
旧センター試験は思考力を問う良問が多く出題されていますので、こちらも必ず目を通しておきましょう。
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大学入学共通テストの地理の対策&勉強法まとめ
「地理」で高得点を取るためには、様々なデータを見ながら「なぜこうなるのだろうか」と意識して考えることが非常に大切です。
ただの暗記であれば、小学生でも出来ます。
大学受験では与えられた情報からどういった内容が読み取れるのか、そこから何が考えられるのかを問われます。
そのことを日常から意識することが「地理」における最大の対策法になります。
どうしてこのようになっているのだろうかを考えられれば、得点は飛躍的に向上しますし、それが地理で一番の醍醐味です。
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